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20人全員が中学校へ進学。その先の未来を描くHOPEの2年間

20人全員が中学校へ進学。その先の未来を描くHOPEの2年間
  • PLAS 北村美月

こんにちは!海外事業プログラム・オフィサーの北村です。

日頃よりPLASの活動をともに支えてくださっている皆さま、関心を寄せてくださっている皆さまに、心より感謝申し上げます。

ケニア・ホマベイ郡で2024年から実施してきたHOPEプログラムの第2期が、2年間の活動を終えました。

HOPEでは、経済的に困難な状況にある20世帯の子どもと保護者を対象に、子どもたちへの相談・カウンセリングと、養鶏を通じた家庭の経済的自立支援に取り組みました。

子どもが自分の未来を描くこと。そして、家族がその未来を支えられるようになること。HOPEでは、この二つを大切に活動を行ってきました。

今回は、数字として表れた成果だけでなく、私が現地で見たプログラム参加者のみなさんの姿も交えながら、HOPEの2年間を振り返ります。

「将来、何になりたい?」を考える

HOPEでは、子どもたちが小学校を卒業し、中学校へ進学できることを一つの目標としてきました。

2年間のプログラムを終え、対象となった20人の子どもたちは、全員が無事に中学校へ進学することができました。
ただ、HOPEが目指したのは、学校に通い続けることだけではありません。子ども自身がその先の未来を考え、それを保護者も一緒に応援していくことを大切にしてきました。

プログラム開始時の調査では、将来の職業について「明確な計画がある」と答えた子どもは一人もいませんでした。

そこでカウンセリングでは、自分の強みや弱みを知り、目標設定や意思決定、キャリアについて考える機会をつくりました。さまざまな職業で働く大人から話を聞くキャリアトークも行いました。

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子どもたちへのプログラムの様子

プログラム終了時には、75%の子どもが将来の職業について「非常に具体的で明確な計画がある」、25%が「ある程度明確な計画がある」と回答しました。

また、「子どもの将来の教育や夢について話している」と最も強く回答した保護者の割合も、プログラム開始時の0%から、終了時には85%に増えました。

中学校へ進学するだけでなく、その先にどんな未来を描きたいのかを考え、家族と話す。そんな変化も生まれています。

育てて、売って、また育てる。その循環を自分たちで

子どもたちへのカウンセリングと並行して、保護者には養鶏を通じた経済的自立支援を行いました。

各家庭にプログラムから2年間で計85羽のひなを提供し、保護者たちは飼育方法だけでなく、病気への対応、飼料づくり、販売、会計や家計管理などについても学びました。

プログラムの後半には、ほとんどの家庭が鶏を販売した利益を使って、自分たちで次のひなを購入できるようになりました。

支援で受け取った鶏を育てるだけでなく、そこから得た利益を使い、自分たちの力で次の養鶏につなげていく。そのような経済的自立に向けた動きが保護者たちの中で生まれています。 

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自分の力で追加購入したひな

また、養鶏で得た収入は、学費や制服、学用品など、子どもたちの教育を支えることにも使われています。

プログラム終了時の調査では、多くの家庭が今後も養鶏を続ける具体的な計画を持ち、規模を広げたり、利益を再投資したりする意向を示していました。

こうした変化は、養鶏への向き合い方にも表れていました。

PLASのプログラムでは、特にプログラム開始から間もない頃、物資や金銭的な支援への期待を参加者から感じることがあります。HOPEでも、開始当初には子どもや保護者からプログラムへの期待が大きすぎることが、課題の一つとして挙げられていました。

それから2年。プログラムの終盤に私が研修へ参加したとき、「もっと養鶏について学びたい」「こうした研修を続けてほしい」という声を聞きました。

どうしたら病気を防げるのか。どうしたら飼料代を抑えられるのか。どうしたらもっと利益を出せるのか。具体的な質問も次々と出てきました。

物を受け取るだけでなく、自分たちで養鶏を続けるために、もっと知識や技術を身につけたい。そんなプログラム参加者のみなさんの姿に、2年間の変化を感じました。

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養鶏研修の様子

「次は牛、その次はロバ」パメラさんが描く次の目標

そうした変化を実際の暮らしの中で感じさせてくれた一人が、パメラさんです。

私が初めてケニアを訪れた2月の出張では、現地パートナー団体のスタッフから、養鶏への意欲がとても高く、飼育環境もしっかり整えているメンバーの一人として彼女の名前を聞きました。

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鶏のお世話をするパメラさん

実際にパメラさんの家を初めて訪ねたのは4月でした。

パメラさんは、育てた鶏のうち10羽を販売し、育てた鶏を家族で食べることもあると教えてくれました。

「HOPEに参加して一番変わったことは?」と聞くと、「収入」と答えてくれました。
養鶏で収入を得られるようになったことを、生き生きと、誇らしそうに話してくれたのを覚えています。

さらに、その収入をもとに、次は20羽を自分のお金で購入したいと考えていました。一部の鶏は売らずに残し、繁殖にも挑戦する予定でした。

そして7月、再びパメラさんを訪ねることができました。

パメラさんは、3か月ぶりに訪ねた私のことを覚えていてくれました。再会をとても喜び、この3か月のことを一つひとつ教えてくれました。

パメラさんは前回話してくれた通り、自分のお金で鶏のひなを追加購入しただけでなく、養鶏の収入を使ってヤギを購入していました。4月は数頭だったヤギは、子ヤギも含め11頭まで増えていました。

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現地パートナー団体のスタッフ(左)とパメラさん(中央)

次の目標を聞くと、「次は牛を買いたい。そのあとにはロバも持ちたい」と話すパメラさん。

病気で鶏を失ったり、飼料や穀物の価格が上がったりと、パメラさんの養鶏も順調なことばかりではありません。それでも、養鶏を続けながらヤギの飼育へと活動を広げ、自分たちの暮らしを少しずつ前に進めていました。

帰り際には、「牛やロバを買えたら知らせるから、また来てほしい」と話してくれました。

4月には「次は自分のお金で20羽のひなを買いたい」と話していたパメラさんが、

その目標を実現し、さらにヤギ、牛、ロバへと次の目標を描いている。その姿を見て、プログラムを通じて生まれた変化は、養鶏による収入だけではないのだと感じました。

HOPEでの学びを、次のプログラムへ

2年間を振り返って私が感じるのは、HOPEプログラムで残ったものは、目に見える支援だけではないということです。

養鶏の知識や技術を身につけ、自分で次のひなを購入する。もっと利益を出すために何を学べばいいのかを考える。そして、その収入を子どもの教育に使う。

子どもたちもまた、自分の強みや将来について考え、家族と夢について話すようになりました。

もちろん、2年間のプログラムだけですべてが変わるわけではありません。それでも、「次はどうしたいのか」を自分たちで考え、そのために行動する姿が、子どもたちにも保護者にも少しずつ生まれてきたことは、HOPEプログラムの大切な成果の一つだと感じています。

一方で、2年間を通して課題も見えてきました。

鶏の病気や飼料価格の高騰など、養鶏だけでは安定した収入を得ることが難しい場面もありました。

そこで、現在実施しているHARMONYプログラムでは、養鶏に農業を組み合わせています。収入源を一つに頼らず、どちらかがうまくいかないときにも、もう一方で家計を支えられるようにするためです。

HOPEで得た成果と課題を次のプログラムにつなげながら、より安定して収入を得られる仕組みを目指しています。

HOPEプログラムは終了しましたが、パメラさんが話してくれた目標も、子どもたちが描いた将来の夢も、ここで終わるものではありません。

20人の子どもたちは、それぞれが思い描く未来に向かって、中学校での新しい生活を始めています。そして、その未来を支える家族も、自分たちの力で暮らしを前に進めようとしています。

HOPEで生まれた変化が、それぞれの家庭のこれからにつながっていくことを、私たちも引き続き見守っていきたいと思います。

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