こんにちは!海外事業マネージャーの藤原です。
いつもPLASにあたたかいご支援と応援をいただき、ありがとうございます。
ウガンダ共和国ジンジャ県では2022年の1月からSHINEプログラム3期を開始し、20名のHIV陽性のシングルマザー・ファザーたちに在来種野菜の栽培による経済的自立と栄養改善の支援を届けてきました。
プログラム前後調査の結果を交えて、SHINE3事業について海外事業マネージャーの藤原から完了報告を前編と後編に分けてお伝えします。
プログラム地のジンジャは年間を通して20度~30度と温暖な気候で、年に二回の大雨季と小雨季、そして乾季があります。
地域のHIV陽性率はおよそ7.8%あるにも関わらず、村の中でHIV陽性とわかるとコミュニティの集まりに呼ばれなかったり、「あの人には関わるな」と悪い噂が流れたりと、差別が残るのも現状です。
平均して6人の子どもや孫をひとりで養うにもかかわらず、体調を崩しやすかったり、既出の差別で仕事を得にくかったり、SHINEプログラム参加者のプログラム前の平均年収は159,600シル(約6,230円)でした。
ジンジャ地域の村の参加者宅訪問へ向かう。雨季なので雨上がりの道がぬかるんでいる。
SHINEプログラムでは、2年間の事業に継続して参加意思のあるHIV陽性のひとり親20名を対象に、オリエンテーション、基本的な農業知識と技術の研修、栄養知識の研修、グループ農業とグループ貯蓄の実施を2年間を通して実施しました。
2年後のプログラム終了時の自立も目標とするため、プログラム初期に農業用水タンクの設置と1年目のグループ農地代を支援しましたが、2年目時の農地代は1年目の農業収入とそのグループ貯蓄からまかないました。また、各研修でもできる限り現地のリソースを利用しています。
畑の畝作りの目安はそこらへんに生えているバナナの木の皮をその場でよってロープにして測り、マルチは枯れたバナナの葉を使い、農薬には台所の灰と唐辛子を使う、といった具合です。
現地にすでにあるリソースを使用することで、プログラム支援終了後にも現地のお母さんたちが習ったことを継続しやすくしています。
農業研修の様子。現地の農業オフィサーが指導している。マルチにはバナナの葉。
平均合計年収は、プログラム開始前の159,600シル(約6,230円)から約3.3倍の520,650シル(約20,325円)へと大幅に増加。これまで0シルだった自営農業による収入が平均80,000シル/一農期に伸びたこと、農業手伝いやその他のビジネスによる収入が上がったことが主な要因です。
農業研修の中でマーケティングを学ぶことも、農業外のビジネスチャンスを広げるのに一役買ったと考察できます。
ベースラインはプログラムの開始時点における基準となる状態、エンドラインの終了時点における結果として得られた状態
畑で育てているスクマウィキ(ケールの一種)を収穫する。家でも食べるし、余れば市場で打って現金収入にする。
栄養摂取状況も優位に改善が見られました。プログラム開始前のタイミングでは40%が前日の食事回数が2回以下(0回1件、1回1件、2回6件)と答えていましたが、プログラム終了後では95%が前日の食事回数が3回以上と3食食べられる状態になっていました。5%も2回であり、プログラム開始前からの大幅な変化が見られます。
栄養研修の一幕。HIV陽性者に特に必要な栄養素を学んだあと、グループで理想的な1週間の食事の献立を作って発表している様子。
また、食事内容にも変化がありました。プログラム開始前には乳製品、卵、肉、魚の動物性たんぱく質を摂取できている家庭が非常に少ないのがわかります。
プログラム後は動物性たんぱく質を摂れた家庭が2~3倍になり、グラフ全体の凹凸、つまり各種食べ物の偏りも減っているのがわかります。6割にとどまっていた穀物も、ほぼ全ての家庭で接種できるようになり、全体で食べれるものが増えていることがわかります。
ベースライン
エンドライン