こんにちは!海外事業プログラム・オフィサーの牧野です。
日頃よりPLASの活動をともに支えてくださっているみなさま、関心を寄せてくださっているみなさまに、心より感謝申し上げます。
PLASは、2023年6月~2026年2月までの間、現地パートナー団体ビアジェンコとともに、子ども・若者の望まない妊娠を防ぐための持続可能な保健推進を目的としたSRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights:性と生殖に関する健康と権利)プログラムを、ケニア共和国ホマベイ郡にて実施してきました。
今回は、SRHRプログラム第1期(約3年間)の取り組みを振り返るとともに、現地で見えてきた成果と課題、そしてこれからの挑戦についてお伝えします。
| ホマベイ郡 | ケニア全国 | |
| 10代妊娠率 | 23% | 平均15% |
| HIV感染率 | 16.18% | 平均3.7% |
| HIV陽性者数 | 129,087人 | 1,481,853人 |
ケニア全国の平均データと比較してみると、ホマベイ郡の10代妊娠率は全国平均の1.5倍、HIV感染率は全国平均の約4.4倍であることが分かります。また、ホマベイ郡のHIV陽性者数は、ナイロビ郡に次いでケニア国内47郡中2番目に高い数字となっており、ナイロビ郡とホマベイ郡の2郡だけで約5人に1人(約22%)のHIV陽性者が暮らしていることになります。
海外事業スタッフがプログラムを実施している学校でインタビューをした際、15歳の女の子は「友だち2人が早期妊娠が理由で、すでに学校からドロップアウトしている」と教えてくれました。子どもたちにとっても、早期妊娠がごく身近な問題であることが分かります。
さらに、男性優位の価値観が残る地域であることや、貧困、在学中の妊娠による偏見や差別、性教育のタブー視によるSRHRの知識不足といった要因が複雑に絡み合い、早すぎる妊娠・出産を経験した女の子が学校を中退し、その後の就労機会や経済的自立にも大きな影響を及ぼしています。そして、これがさらに次の世代の貧困へとつながるという負の循環が、地域全体の課題となっています。
そこでPLASは、子どもと若者が正しい妊娠・避妊の知識を得て、自己決定して行動できるようになり、地域の若年妊娠率を減らすことを目指し、SRHRプログラムを通じて以下に取り組みました。
SRHRは、単なる「性教育」でも、「女の子だけの問題」でもありません。
誰もが自分の身体や人生について正しい情報を得て、自分の意思で選択し、その選択が尊重されること、そしてその選択のために必要なケアや治療を受けられることを指します。これは、恋愛や結婚、妊娠・出産、子どもを持つかどうか、持つ時期や人数、性行為、避妊、中絶、性感染症の治療と予防、性的指向や性自認に至るまで、人生の大切な場面で、自分らしく生きる権利そのものを意味します。
だからこそPLASは、ピアエデュケーターを男女ほぼ同数になるよう選定し、男女双方を対象にしたピアエデュケーター育成を大切にしてきました。お互いを尊重し、自分だけでなく相手の人生も大切にできる関係性を築くためには、男子も女子も同じように学び、考え、行動することが欠かせないと考えています。

ピアエデュケーターたち。みんなとっても仲が良さそうなのが印象的でした。
このプログラムの中心となった活動は、「ピアエデュケーター」の育成です。
ピアエデュケーターとは、同世代の若者に対して、自ら学んだ知識や経験を伝える若者たちのことです。性に関する悩みは、親や先生には話しづらい内容であることも多く、同じ年代だからこそ話しやすく、悩みを共有しやすい存在になることができます。
PLASオリジナルの研修マニュアルを活用し、思春期の心と身体の変化、性感染症やHIV、避妊、性的同意、正しい情報の見つけ方、そして啓発活動の計画づくりまでを段階的に学べる研修を実施しました。知識を身につけるだけではなく、「自分たちで地域を変える活動を考え、実践する」ことまでを含めた内容となっています。

ピアエデュケーター研修で、性感染症と避妊具について学んでいます。
研修を受けた後は、早速周りの人たちにその知識を伝えていきます。自分の学校で保健研修を行うほか、地域の医療施設などでも啓発活動を実施してきました。
中でも印象的だった啓発活動は、ピアエデュケーターのブライトンさんが自分が通う高校で実施した、男子生徒を対象にした特別セッションです。
「10代の妊娠を減らすためには、男子生徒自身が変わらなければならない」と考え、ブライトンさん自らが企画。30名を超える男子生徒が参加したこのセッションでは、10代妊娠の背景にある要因や、その影響について率直な意見交換が行われました。
仲間からのプレッシャーや固定的なジェンダー観、男女間のコミュニケーション不足など、若者自身が日頃感じていることを持ち寄り、「自分たちに何ができるのか」を一緒に考え、「男子は傍観者ではなく、女子を支える協力者になれる」というメッセージを仲間たちに伝えました。
女子を危険にさらすような言動を見過ごさず、尊重と思いやりを持って接すること。
自制心を持ち、自ら行動で示すこと。
そして周囲にも良い影響を広げていくこと。
大切なメッセージがたくさん詰まったセッションをしっかりとやり遂げてくれました。
途中で学校を卒業してしまった人も含めて、3年間で育成したピアエデュケーターは累計28名となり、1,600人を超える子どもたちへ知識を届けることができました。

啓発活動の様子。この日は日陰にイスを並べて、青空教室で行いました。
2026年2月には、今までの貢献を称える修了式を実施しました。一人ひとりに賞状を手渡し、ピアエデュケーターたちの今までの学びや活動を振り返る時間を持ちました。
ピアエデュケーターのラベンダーさんは、「SRHRについて学ぶ機会を得られたことを、とても嬉しく思っています。正しい知識を身につけたことで、望まない妊娠をすることなく学業を続けられるようになり、大学まで進学するという目標を持っています」と話してくれました。
保健省の担当者からは、保健省としてもピア同士の話し合いが有効であると考えていることや、「SRHRの課題は家庭での話し合いが鍵となるので、オープンに話すことを続けてほしい」というコメントがありました。村のリーダーからは、「課題解決に貢献するピアエデュケーターのような活動の積み重ねが、良い仕事や良い将来に繋がっていく」という、将来に繋がる励ましの言葉がかけられました。

ゲンベ西部地区のリーダー・マイケルさんから、笑顔で修了証書を受け取るトレバーさん

修了証書を受領したピアエデュケーターたち。これまで活動を見守り続けて下さったご家族の皆さんと一緒に。
子どもたちが最も長い時間を過ごす場所は家庭であり、進学や結婚、恋愛など、人生の重要な意思決定には家族の意識や考え方も大きく影響します。そのため、保護者を対象とした研修も実施し、SRHRの基礎知識だけでなく、子どもとのコミュニケーションの取り方や、家庭で安心して相談できる環境づくりについて一緒に考えてきました。
プログラムの3年目には、教師向けの研修も実施しました。現地の教師からは、「自分自身もSRHRについて十分な知識がなく、生徒から相談されてもどう対応すればよいか分からない」という声が聞かれたため、教師自身が正しい知識を身につけ、生徒を適切に支えられる学校環境づくりも目指しました。

保護者向けの研修の様子。保護者からも積極的に意見が寄せられました。
若者が安心して相談できる環境を整えるためには、学校、家庭、医療施設、地域がそれぞれの立場で役割を果たしながら連携することが欠かせません。プログラムでは、避妊具・避妊薬の提供や配布状況の確認を通して、6か所の医療施設との連携を進め、21,168個の避妊具と3,835個の避妊薬を届けてきました。
さらに、学校や行政関係者、地域のリーダーたちとの関係者会議も実施しました。
関係者会議では、行政と現場の意見が大きく食い違う場面もあり、意見の一致は容易ではありませんでしたが、プログラムの成果と有効性を根気強く伝え続けていき、長い目で関係性を構築していくことが重要であると実感する場となりました。

学校や行政関係者、地域のリーダーたちを集めて実施した関係者会議
この3年間で、ピアエデュケーター自身にも、周りにも、様々な変化が起きました。
ウィクリフさんは、多くの10代の若者が早期妊娠や性感染症によって学校を中退している現状を目の当たりにし、「同じ若者だからこそ、仲間たちに伝えられることがある」と考え、活動に参加しました。
プロジェクトに参加した当初、ウィクリフさんはとてもシャイな性格で、人前で話すことが苦手でした。ましてや、SRHRのようにデリケートなテーマについて大勢の前で話すことなど、自分にはできないと思っていたと言います。
しかし、啓発活動を重ねる中で少しずつ自信をつけ、今では学校や地域で多くの人の前に立ち、SRHRや保健衛生の大切さについて堂々と話せるようになった、と語ってくれました。昨年には学校の生徒会長にも選ばれたそうで、プログラムを通じて自信を持って周囲と関われるようになったことが、生徒会長の活動の後押しになったそうです。
一方で、SRHRについて話すことを恥ずかしいと感じる若者は今も多く、啓発活動中にからかわれたり、真剣に話を聞いてもらえなかったりすることも少なくないと言います。特に年下の子どもたちは、恥ずかしさから質問することをためらうことも多く、「相手に合わせた伝え方を工夫しながら、一人ひとりと直接向き合うことが大切だと感じています」と話してくれました。

ウィクリフさんの研修マニュアル。メモ書きがびっしり!
リリアンさんは、「同世代の女の子たちがHIVに感染したり、学校を中退したりすることなく、安全に暮らせる地域にしたい」という思いからピアエデュケーターになりました。
プログラムに関わる前は、人前で話すことに自信がなく、HIV/エイズのようなデリケートなテーマについて自分の意見を伝えることなど考えられなかったといいます。
しかし、研修や学校での啓発活動を重ねる中で少しずつ自信をつけ、今では子どもたちや同世代の若者に対して、HIV/エイズやSRHRについて毅然とした態度で話せるようになったそうです。
「以前は、人前に立つことも、自分の考えを伝えることもできませんでした。でも今は、恐れたり恥ずかしがったりすることなく、自信を持って話すことができます。」
初めは緊張していたピアエデュケーターたちも、少しずつ自信を持って人前で話せるようになり、「自分も誰かの役に立てる」という自己効力感の醸成にも繋がっています。
そんなリリアンさんの将来の夢は、看護師になること。ピアエデュケーターの活動をしながら、医療や健康の知識をさらに深めることが目標だそうです。
ロジャースさんは、「この村には若年妊娠とそれによる中退があまりにも多く、その現状を変えたい」という思いからピアエデュケーターの活動を始めました。
インタビューをした時のロジャースさんは、ずっともじもじしていて、とても恥ずかしがり屋な印象の男の子でしたが、ピアエデュケーターとして、学校だけでなく、サッカー場や教会、水汲み場など、地域の日常のさまざまな場所でSRHRについて語る存在へと成長しています。
そして、「世代間の知識やコミュニケーションギャップを乗り越える必要がある」という明確な目標も持っていました。彼が「このプロジェクトで一番大きく変わったこと」と話してくれたのは、家族との関係です。
以前のロジャースさんの家庭では、SRHRについて話すことはタブーでしたが、研修で正しい知識を身につけた後、自ら両親との対話を始め、少しずつ家族間の理解につながっていきました。
現在では、両親は家族計画の重要性を理解し、子どもを持つタイミングや家庭で養育できる子どもの人数について夫婦で話し合うようになり、兄弟姉妹と一緒にSRHRについて自然に話すことが日常になったと教えてくれました。
SRHRについて安心して話せる家庭が一つでも生まれたことは、このプログラムが目指してきた「地域の変化」の確かな一歩になったと感じています。

ピアエデュケーターたち。青いベストを着ている人のうち、左側がウィクリフさん、中央がロジャースさん、前方右から2人目がリリアンさん
ピアエデュケーターの育成に協力してくださっている高校の教師であるマーク先生は、「ピアエデュケーターは学校にとって本当に大きな存在です」と話します。
「教師から教わるよりも、普段一緒に過ごしている仲間からSRHRについて伝えられる方が、生徒たちは身近に感じ、素直に受け止めることができます。教師自身もSRHRについて話すことにためらいを感じることがありますが、生徒同士だからこそ生まれる対話があります。」
さらに、ピアエデュケーターとなった生徒自身が人前で話す自信を身につけ、相談を受ける存在へと成長していく姿を見て、「自分だけが悩んでいるわけではない」「困ったときには相談してもいい」と感じる生徒が増え、学校生活への意欲や学習態度にも前向きな変化が見られるようになったと話してくれました。

関係者会議にも参加して下さった、マーク先生(中央の青いシャツ)
避妊具・避妊薬を提供しているヘルスセンターのメアリーラブさんからは、ヘルスセンターで記録している20歳未満の妊娠者数が、2023年の48件から2024年には19件、2025年には12件、そして2026年は4月時点で3件にまで減少しているというデータが共有されました。
これは、地域全体のさまざまな取り組みが重なった結果でもあり、PLASだけの活動による成果とは断定できませんが、早期妊娠者数が現場で実感できるレベルで減少していることは、地域に良い変化が生まれ始めている可能性を感じました。

訪問者の記録を見せて説明して下さったメアリーラブさん
私たちの約3年間の活動によって、地域社会を大きく変えられたわけではないかもしれません。
それでも、一人の若者が自信を持って人前で話せるようになったこと。家庭で初めてSRHRについて語り合えるようになったこと。若者の力を信じる大人が増えていること。そうした小さな変化が、きっと地域の未来を少しずつ変えていく力になるのではないでしょうか。
前向きな変化は、プログラム前後の調査結果からも見ることができます。
「親と心配事や自分の身の危険について『いつも』あるいは『たいてい』話せる」と回答した人は、プログラム前の42.8%から85%に、「親や家族と性と生殖に関する話を『いつも』あるいは『たいてい』したことがある」と回答した人はプログラム前の4.8%から95%と大幅に増加し、家族間のコミュニケーションに良い変化が生まれたことが分かります。

心配事や自分の身の危険について親と話ができる

親や家族と性と生殖に関する話をしたことがある
知識面や行動面では、「18歳未満での出産がもたらす将来の影響を『とても』あるいは『おおむね』知っている」と回答した人が52.4%から95%に大幅増加しました。
性的同意を得る必要性に関しても、プログラム前は『強く必要だと思う』あるいは『必要だと思う』人が60%に留まっていましたが、プログラム後は全員が『強く必要だと思う』あるいは『必要だと思う』と回答しました。

18歳未満での出産がもたらす将来の影響を知っていますか?
「性と生殖に関することを友人と話をするのは、恥ずかしい」かどうかについては、プログラム前は『全く恥ずかしくない』あるいは『ほとんど恥ずかしくない』と答えた人は45%で、女子が少ない傾向にありましたが、プログラム後は『全く恥ずかしくない』と答えた人が85%にまで増加し、男女の差がほとんどなくなりました。

性や生殖に関することを友人と話をするのは、恥ずかしい
しかし、活動を続ける中で、知識を伝えるだけでは変えられない課題も見えてきました。
「ジェンダーロールは決まっており、それに従うべき」という質問に関しては、プログラム前後で『従うべきだと思わない』と回答した人の割合は14.3%から40%に増加したものの、『従うべきだと強く思う』と『従うべきだと思う』と回答した人の割合にはほとんど変化が見られませんでした。

ジェンダーロールは決まっており、それに従うべき
「男性は権力を持っているべきであり、女性はそれに従うべきである」かどうかについては、プログラム前は『強くそう思う』あるいは『とてもそう思う』人で半数を占めていました。
プログラム後は『強くそう思う』人は0人となり、『全くそう思わない』人が50%となりましたが、依然として『とてもそう思う』、『なんとなくそう思う』と回答した人を合わせると45%に上り、回答がほぼ半々に分かれた形となりました。

男性は権力を持っているべきであり、女性はそれに従うべきである
調査の中で、「女性が収入を得て家庭を支えることや、妻が家庭の意思決定を担うことは、恥ずかしいことで、周囲からどう思われるかが気になる」と話すピアエデュケーターもいました。宗教的・伝統的な家族観や地域社会の価値観が深く根付く中で、プログラムを通して一人ひとりにジェンダー平等の意識を伝えたとしても、理想と現実の乖離にピアエデュケーターが悩むことになるのではないか。そのようなジレンマも感じました。
早期妊娠は、社会構造、貧困、自己効力感の低さ、一夫多妻制などの社会制度、地域性、ジェンダーバイアスなどが深く、複雑に絡み合っています。女性の立場が弱くなってしまう背景は単一の原因によるものではなく、知識をつければ解決するわけではないという現実も、プログラムを実施する上で直面した課題解決の難しさでした。
ケニアでの約3年間の取り組みは一区切りを迎えましたが、私たちの挑戦はまだ続いています。
2026年1月より、20名の新たなピアエデュケーターを迎えて、SRHRプログラム第2期を継続して実施しています。
また、外務省「日本NGO連携無償資金協力」のご支援を受け、新たな性に関する教育事業CHOICEプログラムを開始しています。ピアエデュケーターの対象校・対象人数ともに拡大し、6つの学校から50名のピアエデュケーターの育成に取り組んでいます。「チルドレン&ユースセンター」の建設も進めており、子どもや若者、保護者からのSRHRに関わる相談対応や研修、啓発活動を行う拠点となる予定です。

建設真っ最中のチルドレン&ユースセンター。これから窓枠をはめる作業が行われます。
さらに、ケニアで培った経験を活かし、2026年1月からはウガンダでもピアエデュケーター育成を行うSPEAKSプログラムを開始しました。プログラムの基本はそのままに、現地の課題に合わせて内容を調整しながら、新たな挑戦を続けています。
今後は、ジェンダーに基づく暴力(Gender-Based Violence:GBV)への対応も強化していきます。どういった行為がGBVにあたるのか、相手を傷つけないために何が必要か、相談を受けた時に一人で抱え込まないことなど、GBVに関する情報をマニュアルに組み込み、ピアエデュケーターへの研修を進めていく予定です。
ピアエデュケーターは「入口」であり、「きっかけ」となる存在です。ピアエデュケーターの活動は、すぐに目に見える大きな成果は生まれないかもしれません。しかし、彼ら・彼女らには、自ら考え、行動し、地域を少しずつ変えていく力があります。
性について話すことがタブー視され、世代間の意識のギャップも残る地域で、人前に立ち、正しい知識を届けることは決して簡単なことではありません。それでも、挑戦を続けている若者たちがいます。
PLASはこれからも、その一歩一歩に寄り添いながら、誰もが安心して、自分らしい人生を選択できる社会を目指して歩み続けます。

SRHRプログラムを進めて下さっている、PLASケニアのスタッフとビアジェンコのスタッフたち。彼・彼女たちにより、PLASのプログラムが支えられています。
現地で活動する中で、「なぜ日本は早期妊娠が少ないのですか」と質問を受けたことがありました。確かに、現在の日本の早期妊娠率は1.6%と、ケニアと比較しても著しく低い数値です。
一方で、日本でも「性について話しづらい」という空気は今も残っています。学校教育でも性暴力防止の教育は始まっていますが、避妊や妊娠の仕組みまで十分に扱われているとは言えません。
また、家庭で性について話す機会が少ないことや、インターネットやSNSにあふれる情報の中で、どれが正しい情報なのか判断しにくいという課題もあります。早期妊娠率の低さゆえに、若くして出産することになった人への支援も、充実しているとは言えません。
世代間のギャップ、正しい情報へのアクセス、家庭で対話する難しさ、ジェンダーロールの固定化など、課題の本質には日本とケニアに共通する部分が少なくありません。日本でも、周りの声や社会の価値観、見えないプレッシャーによって、自分のSRHRに関する意思決定が左右される場面もあるのではないでしょうか。
SRHRは、決して遠い国だけの課題ではありません。誰もが自分らしく生き、自分の人生を自分で選択できる社会をつくるために、日本に暮らす私たち一人ひとりにも関わるテーマです。
このレポートをきっかけに、SRHRという課題を少しでも身近なものとして感じていただき、ケニアの若者たちの挑戦に思いを寄せていただけたら嬉しく思います。
引き続き、SRHRプログラムの様子を見守っていただけますと幸いです。
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