ウガンダのムコノ県で、新しい性に関する教育事業「SPEAKSプログラム」が始まりました。
SPEAKSは、「Strengthen Peer Educators' Ability to Advance Knowledge of SRHR」の頭文字を取った名前です。
子どもや若者が、性や生殖に関する健康と権利を学び、その知識を同世代の仲間にも伝えていけるよう、正しい知識と自分で選択する力を身につけたピアエデュケーターを育成し、同世代の若者へ向けた啓発活動を行います。
性と生殖に関する健康と権利(Sexual and Reproductive Health and Rights:SRHR)とは、誰もが自分の身体や性について正しい知識を得て、自分の意思を尊重しながら健康に生きるための権利です。
つまり、自分の身体や人生について、自分で考え、選び、決めていく力にもつながる大切な権利です。
SPEAKSプログラムでは、学校や地域、医療施設、行政と連携しながら、子どもたちが安心して学び、困った時に相談できる環境づくりも進めています。
しかし、このプログラムはすぐにピアエデュケーターの育成活動から始まったわけではありません。
まず大切にしたのは、地域の人たちの声を聞き、信頼関係をつくることでした。
1月、私たちは活動を行う候補地を訪問し、学校や行政、地域のリーダーなど、さまざまな人たちと話し合いながら、その場所の状況を確認していきました。
「この地域では、子どもたちがどんな課題に直面しているのか」
「子どもたちはどのような悩みや困りごとを抱えているのか」
私たちは、一つひとつの声に耳を傾けながら、活動の準備を進めました。

地域についてヒアリングする様子
調査の中で、水辺地域で暮らす子どもたちを取り巻く厳しい現実も見えてきました。
経済的な困難を背景に、女の子たちが性被害や搾取の危険にさらされていること。10代で妊娠をする子どもが少なくないこと。困ったときや被害にあったときに、安心して相談できる場所や人が十分ではないこと。
こうした課題が、地域の人たちから共有されました。

水辺の様子
地域の代表者からは「子どもたちにとって良い手本となる活動なので歓迎したい」というあたたかい声をいただくことができました。
課題の大きさと同時に、地域の中にある期待も感じられるスタートとなりました。
2月には、学校で活動を始めるために、行政との話し合いや教材の確認が進みました。
学校で使う教材は、地区教育局だけではなく、学校関係者や地域のさまざまな立場の人たちによって確認されました。
特に話し合いが重ねられたのは「家族計画」について、子どもたちにどのように伝えるかという点でした。
一部の関係者からは、「小学生にはまだ早いのではないか」という意見もありました。
それに対して私たちは、子どもたちが将来、自分の身体や人生について適切に考え、自己決定できるようになるためには、正しい知識を得ることが大切だと説明しました。
その結果、研修を行う前に各学校と十分に話し合い、研修マニュアルの内容について理解と合意を得たうえで進めて行くことになりました。

訪問した学校の1つ
地域の人たちと一緒に活動をつくっていくためには、こうした対話の積み重ねが欠かせません。活動開始までに時間がかかりましたが、それは単なる遅れではありません。
地域の人たちと一緒に考え、地域に受け入れられてもらうために必要な時間でした。
3月下旬、私たちは学校を訪問しました。活動を行う学校を選び、学校で仲間に学びを伝える「ピアエデュケーター」の候補者の選定も進めました。

ギバースタッフとピアエデュケーターの子どもたち
訪問した学校の校長先生たちからは、SPEAKSプログラムを歓迎する声が寄せられました。
ある学校の校長先生は、こう話しています。
「このプロジェクトは地域に前向きな変化をもたらす取り組みになるでしょう。」
また、ムコノ県地方自治体の関係者からは、男子も対象に含めている点を評価する声もありました。
「男子はこうした活動から取り残されがちですが、このプロジェクトではその点がしっかり考えられています。」
性に関する知識や、自分と相手を大切にする学びは、女子だけに必要なものではありません。
男子も女子も、ともに学ぶことで、互いを尊重し合える関係づくりにつながっていきます。
この3ヶ月で私たちは、行政、学校、地域の人たちと何度も話し合いながら、「この地域に本当に必要な性教育とは何か」を一緒に考えてきました。

ムコノ政府との会議
地域に受け入れられ、子どもたちが安心して学べる活動にするためには、時間も対話も欠かせません。
ギバーとPLASは、地域の人たちと一緒にSPEAKSプログラムを育てていきます。
今後は、学校での研修やピアエデュケーターの育成など、本格的な活動が始まります。
子どもたちが正しい知識を身につけ、自分の身体や未来について考え、声をあげ、仲間とともに学びを広げていく。
そんな一歩一歩を、これからも皆さまへお届けしていきます。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
引き続き、SPEAKSプログラムの様子を見守っていただけますと幸いです。
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