「今では、家族のために十分な食事を用意できるようになりました」
そう語ってくれたのは、SHINEプログラム4期に参加したシングルマザーの一人です。
以前は、子どもたちに1日一度しか食事を用意できない日もありました。
2023年1月に始まったSHINEプログラム4期では、20名のHIV陽性のシングルマザーを対象に、在来種野菜の栽培を通じた経済的自立と栄養改善の支援を行ってきました。
今回は、この2年間の活動を通して見えてきたマザーたちの変化の様子をお届けします。
世界最長のナイル川が流れるウガンダのジンジャ県。
その農村地域には、5⼈から10⼈の⼦どもや孫を一人で育てながら暮らすHIV陽性のシングルマザーも少なくありません。
彼女たち自身も、貧困のために学校を中退せざるを得なかった経験を持つ人が多く、安定した仕事に就くことが難しい状況にあります。そのため、十分な収入を得ることができず、子どもの学費を支払えない家庭も多くあります。
さらに、HIVとともに生きる彼女たちは、抗HIV薬を毎日服用しながら生活しています。薬の効果を保つためには栄養のある食事が欠かせませんが、十分な食料を確保することも大きな課題となっています。

小さな子どもを連れて活動に参加するマザー
こうした貧困の連鎖の中で暮らすマザーたちを支援するため、PLASと協働して活動しているのが、現地パートナー団体カユンガです。
1999年に設立された自助組織で、メンバーの多くはHIV陽性のシングルマザー自身。彼女たちが中心となり、地域で支え合いながら活動を続けています。

カユンガのメンバー
SHINEプログラム4期では、20名の参加者がグループで農地を借り、野菜や穀物の栽培に取り組んでいます。
農業に関する研修を実施するだけでなく、参加者が学んだことを実際の農業に活かせるよう、農業専門家が定期的に畑を巡回し、技術的なサポートも行っています。
畑で収穫した野菜は、まず家族の栄養改善のために自家消費されます。
そして余裕があるときには市場で販売し、収入を得ることにもつながっています。

畑での農業研修の様子
また、参加者たちは月に2回のグループ貯蓄も行っています。
この貯蓄は、子どもの学費や学用品の支払いが必要になったときに活用されています。
プログラム開始当初、マザーたちの多くは自分たちの生活の困難さを語っていました。
しかし、2年間の活動を振り返る修了時評価ワークショップでは、自分自身や家族に起きた前向きな変化について話してくれる方が多くいました。
実際に、プログラム開始前は、1日3回の食事を十分に用意できない家庭が約半数を占めていました。
それがプログラム終了時には、9割の家庭が1日3回の食事を用意できていると回答しています。
変化したのは、食事や収入だけではありません。
「研修で学んだことを実践していると、前よりも元気で若くいられている気がします」
そう語るマザーの言葉からは、生活の改善だけでなく、自分の力で未来を切り拓けるという自信が芽生えていることが感じられました。

ワークショップの集合写真
この2年間で、マザーたちの生活には確かな前向きな変化が生まれました。
しかし、子ども全員の学費を支払いきることができた家庭はまだありません。
彼女たちが思い描く未来への道のりは、まだ続いています。
特に課題となっているのが、年に2回訪れる乾季です。
この時期は野菜の栽培が難しく、食料の確保が大きな問題となります。
この学びを活かし、今年からスタートしたSHINEプログラム5期では、乾燥野菜づくりにも新たに挑戦をします。
乾季でも食料を確保できる仕組みをつくることで、マザーたちの暮らしをさらに安定させていきたいと考えています。
