2024年6月にビアジェンコとともに「中期ビジョン」を作成するワークショップを行いました。
このワークショップでは、これまでのパートナーシップの振り返るとともに、支援を届けたプログラム参加者やその人々が抱える課題などについて議論しました。そして、これからの3年間を見据えた中期ビジョンを策定しました。
今回のレポートでは、中期ビジョン作成の様子をお届けします。
まずは中期ビジョン作成の目的や意義について話し合いをしました。
大きい画用紙に「ゴール(目的地)」に向かう道と「車」を描き、何に見立てているのかを全員で考えるアクティビティから開始しました。
車に乗る2人はビアジェンコとPLAS
PLASから「車・人・目的地があれば、十分ですか?目的地にたどり着けますか?」と問いかけられると、モチベーションの役割を果たす「燃料」、向かうべき方向を示す「地図」、そして全員が持つべき「リーダーシップ」が必要だという回答がありました。
ビアジェンコとPLASが道に迷わないようにし、ゴールにいち早くたどり着けるためにも中期ビジョンの作成は必要であると全員で認識を一致させました。
2016年のパートナーシップの開始から、どのような成果や変化をもたらすことができたかを可視化するために、各自でポストイットに書き出しました。
たくさん出てきた成果には、貧困の削減、中等教育に対する認識の向上、地域社会によるPLASおよびVIAGENCOの肯定的な評価などがありました。
嬉しそうに成果を書き出す様子
改めて私たちがもたらした成果に、喜びとお祝いの意味を込め、自分たちに拍手を送りました。
次の3年間も「取り残された子ども」へ支援を届けるために、いま地域の子どもたちが直面する課題や障壁を挙げていきました。
その際イメージしやすいように、模造紙に泣いているAdoyoちゃんという女の子の絵を描き、泣いている理由をみんなで考えます。
ルオ族で一般的な名前「Adoyo」ちゃん
スタッフが出した課題や障壁はこれらが挙げられました。
次に、取り上げた課題や障壁が取り残された状態はどのような状態かをみんなで議論しました。
中期ビジョンをつくるプロセスの中で、障壁が取り除かれたときの理想的な状態を見据えることは重要であるため大切なステップになります。
現状の成果に甘んじた理想では、大きな変化や成果をもたらすことは出来ないと考えるため、より理想的な状態を共に考えました。
障壁がなくなった理想的な状態として、これらが挙げられました。
笑顔になったAdoyoちゃん
理想的な状態をつくるうえで影響を与える利害関係者(ステークホルダー)を洗い出しました。支援を届ける対象者に強く影響する存在を「ドライバー」と呼びます。
個人・地域・社会の3つの層でステークホルダーを洗い出し、それぞれのドライバーを整理しました。
厚生労働省や子ども家庭省、教師、保護者がドライバーとして挙げられました。
パンボからは、「もっと行政を横断して協働すべきという意見が出され、まだまだ連携を深められる省庁があるのではないか。たとえば経済産業省はビジネスの観点で取り残された地方の人たちにも支援することが出来ると思う。」と頼もしい意見も出されました。
ビアジェンコスタッフたち
パートナーシップを継続し、共通のビジョンを考える上で互いの団体の強みを持ち寄ることが重要になるためワークの中でそれぞれの団体の良さについて共有を行いました。
ビアジェンコからは、
PLASからは、
などたくさんの強みを共有、再認識しました
これらをもとに中期ビジョン(理想的な状態を表すフレーズ)の作成を行いました。
PLASとビアジェンコで、試行錯誤や議論を重ね、最終的には満場一致の中期ビジョンが完成しました。
VAIGENCO and PLAS make an empowered community where vulnerable children can gain equal opportunities and self-efficacy to achieve their educational and life goals with their clear vision for the future.
(VAIGENCOとPLASは、脆弱な立場にある子どもたちが平等な機会と自己効力感を得て、将来の明確なビジョンを持ち、教育と人生の目標を達成できるような力強いコミュニティをつくります。)
PLASがつくった中期ビジョンをパートナー団体に「はい、これです!」と渡すのは簡単かもしれません。それでも、じっくり時間をかけて双方でときにぶつかりながら1つのビジョンをつくるプロセスそのものに価値があると私たちは考えています。
私たちはこれまで多くの成果を上げてきましたが、いまだに取り残された子どもたちは多くいます。だからこそより多くの地域でたくさんの人を対象に活動を広げていきたい!」とこれからの意気込みを語ってくれました。(ヒラリー)