PLASが手掛けるプロジェクトの一つであるFLOWER(経済的自立と相談・キャリアプランニング支援)。FLOWERプログラムは、HIVの影響などで経済的余裕がなく、教育について適切に情報にアクセスできない家庭を支援しています。
在来種野菜と樹木を組み合わせた農業で経済的自立に取り組み、カウンセリングを通じて子どもたちがキャリア・ライフプランニングを行えるように保護者と子どもに働きかけを行っています。
前回のレポートでは、トビアスさんとヒラリーさんのカウンセリングに同行させてもらい、カウンセリングの様子や、実際の効果をお母さん達にインタビューしました。今回も、別のカウンセラー(ポーリーンさんとパンボさん)に同行させてもらったので、その様子をお届けします。
アンナさんは6人(男の子4人・女の子2人)の母親です。上の子2人は寄宿学校に入っているので、4人の子どもと一緒に暮らしています。
ーカウンセリングを受けてご自身とお子さん達に変化はありますか?
カウンセリングを受けているのは、4番目の子どものモニカ(12歳)です。カウンセリングを受けるようになってから、他の3人の子ども達と一緒に座っていろんなことを共有する時間が増えました。また、学校のこと、青少年時期における問題のこと、宿題のこと、※ピア・プレッシャー(同調圧力)をどう乗り越えるかなども話し合っています。
他にも4人の子ども全員が宿題をやったり規則を守るなど良い変化がみられています。
※仲間 (peer) からの圧力 (pressure)
ーピア・プレッシャーにはどんなものがありますか?
ドラッグ、暴力、ティーンエイジャーの性行為などです。これらのピア・プレッシャーをどう乗り越えるか、話をしています。モニカの周りではまだこのようなことは起こっていませんが、予防的に話をしています。
マルグレットさんは、男の子1人、女の子5人の6人の子どもがいます。カウンセリングを受けているのは、孫のシプリーナちゃんです。
ーカウンセリングを受けてご自身とお子さ達やお孫さんに変化はありますか?
以前は一緒に座ってしゃべることなどほとんどありませんでしたが、今では意識的にそういった時間を持つようになりました。
ーカウンセリングではどんな話をしましたか?
シプリーナが難聴かもしれないことです。小さい時からもしかしたらそうなのかもしれないと思ってきたのですが・・・。以前シプリーナの成績が下がった時に、どうしたのか聞いたら
「耳が聞こえづらいので、授業でどのようなことを言っているのか分からず、成績が下がっている」と答えたんです。数人の先生は、彼女の耳の聞こえづらさを知っているのですが、具体的な対策はまだとれていません。
※この件については、1番前の席に変えてもらうようにマルグレットさんか、シプリーナちゃん本人が、先生に話してもらうことも提案しましたが、それぞれの事情で直接話すのは難しいようなので、担当カウンセラーが担任の先生と話し合う機会を持つことも考えています。
ローズさんは現在35歳、亡くなった第一夫人の子どもと自分の子どもの面倒を見ています。(一番上は20歳、一番下は10歳。自分の子は4人)。夫は現在、別の町に働きに出ています。
カウンセリングに参加しているのは、ハドライトくん12歳です。既に3人の子どもがセカンダリースクール(日本では中学・高校に相当する)に通ってます。
ーカウンセリングを受けてご自身とお子さん達に変化はありますか?
一番の変化は宿題の進み具合ですね。以前は宿題が出ても、子どもたちはほとんど取り組んでいませんでした。今では学校から帰宅→家の手伝い→集合させて宿題を開きなさいと言う→みんなで集まってやる、という流れができています。
また、ハドライト君は以前は絵を描くことに興味がありませんでしたが、カウンセリングで母親の私の絵を描いて以来、絵を描くことが好きになったようです。私自身も、絵を描いてもらったことにとても感動しました。
ーカウンセリングではどんな話をしましたか?
農業用にフェンスを設置して貰えると聞いたので、メイズ・豆・スクマウィキ・バナナ・デクを植えたいと思っています。ハドライトのセカンダリースクールに行かせる教育費を(PLASに)払ってもらえるといいのですが・・。
※こういった場合、PLASでは「あげる支援」ではなく、「地域と共につくる支援」を目指していることを毎回説明しています。
例えばフェンス代をハドライト君の教育費として渡したとしても、それは1人分にしかならず、卒業するまで十分な金額にもならない。でももし、フェンス設置をして多くの作物を育てられるようになれば、ローズさんと子ども達の頑張りが、一番下の10歳の子までセカンダリースクールを卒業させるだけの力になる。ローズさん達の「底力」を信じて、PLASは共に歩いて行く、と伝えました。
カウンセリングで子どもが描いた絵
ジョセンタさんは3人の子どもを育てています。真ん中のナエラちゃんは、カウンセリングに参加する前から大変良い子で、現在はクラスから2人ずつ選ばれる監督生(クラス委員)だそうです。
ーカウンセリングを受けてご自身とお子さん達に変化はありますか?
カウンセリングを受け始めてから、3人の子ども達とのコミュニケーションが取りやすくなりました。特にナエラは第二次成長の難しい時期であり、身体や精神の変化について話し合えるのは良いことだと思っています。
ーナエラちゃんの将来の夢を教えて下さい。
将来の夢は心理学者になることです。学校では数学が特に好きです。
※ナエラちゃん自身はかなりシャイだったため、たくさん話を聞くことは出来ませんでしたが、ジョセンタさんによるとナエラちゃんはスワヒリ語が得意で、来週にある絵本の読み聞かせ研修を楽しみにしてくれているそうです。
絵本の読み聞かせ研修の様子は次回のレポートでお届けします!
カウンセリングを通じて、子ども達と「身体の成長や性の話」もオープンに話し合うことができるようになった、という意見を多く聞くことが出来ました。そして、シプリーナちゃんの耳の問題や、学費を直接支援してもらえないのか、といった声もありました。
PLASではプログラム参加者の事情や不安にも向き合い、寄り添いながら、「地域と共につくる支援」を目指して参ります。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
引き続き、FLOWERプログラムの様子を見守っていただけますと幸いです。
-----
あなたができる方法でアフリカの子どもたちが前向きに生きられる未来をともにつくりませんか?
今回のみの寄付はこちらから
マンスリーサポーターの登録はこちらから
イベントに参加はこちらから